基地構想
スポーツ関係のヘッドラインをチェックしていると2つの整備事業に目が止まりました。
一つはJリーグ水戸ホーリーホックの練習会場を兼ねた複合施設の工事契約が町議会裁決で否決された件と、京都サンガの本拠地スタジアムが構想25年を経て来年の着工が決まったとの事。
事業を成立させるために必要な要素は「人・物・金」と言われていますが、一つ欠けて足踏み状態となった事業と、長い時間をかけて3つ揃えて前に進んだ典型例でしょうか。
ロンドリーナの大きな転換点としてZUCC FUTSAL BASE大井の整備は大きな役割を果たしました。
施設名に記されているように「BASE=基地」が必要だったわけです。
運営する"人"はいますが、やる場所となる"物"を求めて廃業したテニスコートの地主さんに、フットサル施設としての活用を了承してもらえるよう嘆願に嘆願を重ねました。
少しお年を召した地主さんはフットサルの説明を「何の猿?」とリアクションを返し、最も笑えないダジャレに絶望すら感じましたが、それもそのはずで、2006年あたりではフットサルという名称がそれほど認知されていませんでした。
地主さんは、当時すでにお仕事を引退されていて、在職中は鉄道関係のエンジニアとして国内外で活躍されていたとの事です。
毎週末にフットサルの説明をしにお伺いしましたが、地主さんの鉄道好きの熱量は我々のフットサルのそれに勝るとも劣らないものがあり、ほとんどの時間を鉄道の話に費やしました。とてもいい思い出です。
最終的には理解を示して頂き、やる場所を得たわけですが、致命的な事に施設を建てる"金"が不足していました。不足と言えば少し見栄を張れる感じもありますが、実際はほぼ皆無でした。
ここで立ち上がってくれたのが地主さんです。色々な仕組みを活用して我々と一緒に事業リスクを背負い資金調達を実現させてくれました。
転換点のターニングポイントと言うと話がややこしいですが、この地主さんの決断が、入り組んだ分かれ道の中で唯一の正しい道を示してくれることになったのです。
プロ選手のセカンドキャリアや、クラブチームの拠点整備で相談を受ける機会が多くありますが、「人・物・金」の獲得に対し、バランスよく労力をかけられる場合は事業化できますが、どれか一つでも怠るといつまで経っても成立しません。
縁や出会いも大切にしていますが、それを使いこなせるだけの勉強はしていきたいです。
地主さんは、施設の最寄の上大井駅に子供の姿が見られるようになったと喜んでくれました。
地元大井町出身のロンドリーナ選手がフットサル日本代表に選出された時も喜んでくれました。
現在はフットサルをきっかけにして本当に色々な使われ方をしています。
今年から直接会って年末の挨拶が叶わなくなりましたが、今年も一年お世話になりました。
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